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医療事故だけではないリスク ~治療費未払のお話~

2017.10.01

 日本国内で外国人旅行客による治療費未払が急増しているとのニュースが昨年から今年にかけて見聞きされるようになりました。

 近年、訪日旅行客が増加し、昨年は2,403万人を超えました。それとともに病気やケガで受診する観光客も増え、患者の中には治療費を支払わずに帰国する外国人も多数発生しているようです。

 多くの日本人は、欧米などの諸外国は日本に比べて医療費が高いと認識しており、海外旅行に出かける際には、海外旅行傷害保険に加入することが常識になっていると思われます。20年前のある論文には、海外旅行をした日本国内の大学生の93%が海外旅行傷害保険に加入していると報告されています。加入者のうち約半数は自ら加入、もう半数はカードに付帯した海外旅行傷害保険に加入していました。

 一方、訪日旅行客の海外旅行傷害保険の加入率は、観光庁の調査によると約3割と報道されています。

 また、これも観光庁の調査数字ですが、訪日旅行客の約4%が滞在中にケガや病気を患っているので、自費で治療費を負担しなければならない訪日外国人は、おおよそ67万人(注1)ということになります。

 また、観光庁がまとめた統計では、訪日旅行客数のベスト5は、中国、韓国、台湾、香港、米国の順となっており、観光白書の資料で訪日旅行客の延べ宿泊者数をみると、都道府県別では北海道が東京都、大阪府に次いで全国で3番目に多い地域となっています。(注2)

 憶測になりますが、訪日旅行客が無保険のために治療費の支払でトラブルとなる頻度も北海道は全国的にみても東京や大阪と並んで高いレベルにあるのではないでしょうか。

 新聞報道によると大手損害保険各社から訪日客が滞在中の病気やケガで治療費を支払う際に対応する保険を発売しており、例えば訪日客が入国後でもスマートフォンなどで加入できる保険の他、旅行会社や国内のホテル向けに訪日客の治療費を支払いする保険などがあるようです。訪日客も医療機関も双方安心して治療に専念できるので、このような保険の普及率が高まることが望まれます。

 また、先月、ある損害保険会社から、医療機関が患者から治療費を支払いしてもらえなかった時に損失の一部を補償する保険も販売されたようです。この保険は200床以上の大病院を対象にしているようですが、今後、より多くの医療機関を対象にする保険を販売してもらいたいところです。

(注1)2403万人×(1-30%)×4%≒67万人

(注2)出典:日本政府観光局(JNTO)2016年12月 訪日外客数 および 観光白書

         資料編215頁 資料11 都道府県別外国人延べ宿泊者数2016年

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