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医療事故だけではないリスク ~医療従事者個人が提訴される話~

2018.02.01

 これまで、このコラムでは医療機関や医療従事者を取り巻く、医療事故以外のリスクを中心に述べてきました。今回は医療事故が発生した場合、医療機関ではなく、医療従事者個人が責任を問われかねないリスクがあることを伝えたいと思います。 

 前回(平成29年12月1日 第1191号)のコラムでは、ある病院で個人情報情報漏えいが発生した場合、情報漏えいの原因が職員個人の責任であっても、民法第715条により、その職員を雇用している病院の使用者責任が認められた判例を紹介しました。

 今回は、その事例とは全く逆で使用者の責任を問うことができるにもかかわらず、被害者が使用者ではなく、従業員個人の責任だけを追及することがありうる事例とそのような場合に備える方法を紹介します。

 先日、ある医大の医師2人が患者の遺族から提訴されたとのニュースがありました。一般的には被害者は、事故の責任追及と損害賠償請求のため、加害者の当事者として個人とともに賠償資力のある使用者を提訴するのが普通です。被害者が勝訴した場合、判決に基づいて加害者に損害賠償を確実に履行させるためです。 

 ただ、被害者が加害者を提訴する理由は様々であり、誰を加害者としてとらえて提訴するかは、被害者が事故をどのように考えているかによります。

 医療事故の場合、その原因にもよりますが、当事者として医師、看護師、その他の医療従事者、そして使用者としての医療機関が患者側から共同でまたは単独で提訴される可能性があります。繰り返しますが、左記に記載のとおり、個人だけが提訴されることは、まれではありますが、可能性がゼロではありません。

 もしも医療機関が提訴されずに医師や看護師などの個人だけが提訴された場合、医療機関の医師賠償責任保険だけでは全く無力です。医療機関の賠償保険は、あくまでも医療機関だけの法律上の賠償責任や訴訟費用を補償する保険のため、医師や看護師個人だけが提訴された場合、この保険を適用できません。

 北海道医師会の医師賠償責任保険制度では、勤務医師の個人責任部分を補償する勤務医師包括担保追加条項に加えて、看護師・准看護師・保健師・助産師の個人責任を補償する看護職賠償責任保険、同じく、薬剤師・放射線技師・理学療法士等の個人責任を補償する医療従事者賠償責任保険を用意しました。

 このような特約や保険契約により、万一、医療機関が提訴されずに、医師、看護師等の医療従事者個人だけが提訴された場合も訴訟費用や損害賠償金を補償することができます。

コラム

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