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医療事故だけではないリスク ~労災事故のお話~

2016.08.03

先月、最高裁で「職場の歓送迎会に参加した後、会社に戻る途中での交通事故死を労災と認めなかった労働基準監督署の決定を取り消す」判決が出ました。 通常、歓送迎会は業務とは関係ないと判断する事例が多いと思われますが、今回のケースでは、死亡した社員は特に上司から強く出席を促され、会合には職場の全社員が出席しました。その他にも業務との関連を示す事情があったため、事故を労災と認める判決になったと考えられます。今後もすべての歓送迎会が直ちに業務と関係があると判断されるわけではなさそうです。しかし、飲み会だから業務ではないとの単純な判断にはならず、様々な事情を考慮して業務との関連性の有無が決定されることになると思われます。

精神障害の労災請求が3年連続で最多を更新とのニュースがありました。情報源である厚生労働省が発表した統計資料、平成27年度「過労死等の労災補償状況」によると精神障害による労災の請求件数は、前年度より増加していますが、支給決定件数は、やや減少しています。年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに40代が最も多く、次いで30代が多い状況となっています。また、原因となった出来事で目立つのは、「仕事の内容・量の(大きな)変化を生じさせる出来事」、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」などでした。また、「上司とのトラブルがあった」を原因とする精神障害の労災請求件数は最も多いのですが、支給決定件数の割合は約8%(21件/259件)であり、前述の「仕事の内容・量の変化」の約50%(75/152)、「嫌がらせ、いじめ等」の約40%(60/151)と比較すると認定される割合は低いと言えます。とはいえ、業種に関わらず、上司のパワハラによるトラブルの発生はたびたびニュースに取り上げられており、今年の3月には上司のパワハラによる医師の自殺で病院側に約1億円の支払いを命じた判決が確定しています。

事業者は、職場内のこうしたトラブルも他の認定率の高い出来事とともに発生を食い止める取組を欠かせませんが、万一労災事故が発生した場合の備えとして、北海道医師会では8月より新商品「医業経営ガード」を発売します。この保険は、労災事故が発生し、医療機関が負担する損害賠償責任を補償します。また、役員、従業員の業務災害や通勤災害を政府労災の支給決定を待たずに補償します。

 

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