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医療事故だけではないリスク ~医療施設からの落雪のお話~

2017.04.01

 前回、2月号のコラムで医療施設賠償責任保険について触れましたが、その2週間後にある医療施設で落雪事故が発生しました。

 例年に比べると今年の北海道の積雪は、道東の一部の地区を除けば、概ね平年より少なかったようです。しかし、2月に暖気で屋根に凍り付いていた雪と氷が解けて落下し、隣家の屋根が壊れました。また、雪が解けた水が壊れた屋根の穴から建物内にどんどん流れ落ち、建物内に被害が広がりました。 その建物は飲食店でしたので、修理工事の期間は、休業補償も必要となりました。事故の発生が営業時間外だったため、飲食店内にお客や従業員は不在であり、人身の被害はなく、火災や爆発などで二次被害も発生しなかったことが不幸中の幸いでした。

 会員の先生から北海道医師会の医師賠償責任保険について質問を受けることがあります。特に医療施設賠償責任保険の必要性について聞かれます。病院あるいは診療所内で施設に欠陥があったため、患者が転倒してケガをした場合や駐車中の患者の自動車が落雪で損傷した場合などを説明していましたが、 上記のような落雪事故でかなり大きな損害が発生することがわかり、特に大きな施設では損害額も多額になる可能性を伝える必要があると感じました。

 普段全く雪の降らない地方(例えば、沖縄)で予想外の大雪が降り、落雪により他人に損害を生じさせた場合は、事故を予見することは不可能で、事故の発生は不可抗力であり、加害者側には損害賠償責任が発生しないということも考えられます。しかし、雪国である東北や北海道においては、冬期間の降雪とビルや家屋からの落雪は、十分想定できることから、施設の所有者や管理者は、落雪による事故を防ぐ義務があり、不可抗力による事故と主張することは難しいと考えられます。

 今回の落雪事故もその施設は、医療施設賠償責任保険に加入していましたので、先ず、建物の被害について建物の鑑定人が損害額を算出し、相手側との交渉は、被保険者である医療機関の代理人として弁護士が担当することになりました。解決までにはしばらくの時間を要しますが、会員の先生は安心して医業に集中していただくことができます。

 

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