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医療事故だけではないリスク ~使用者賠償責任の話

2019.10.01

 働き方改革関連法案が4月1日から順次施行され、今年度は大企業を中心に時間外労働の上限規制が開始しています。内容によっては業種や企業規模の大小にかかわらず、猶予期間がなく、開始しなければならない項目もあります。

 こうした中、医療界においても過度な労働が原因で死亡したとして、死亡した医師の遺族から勤務先が提訴された事例や医師の過労死が認められ、使用者の安全配慮義務違反を理由に1億円を超える支払を命ずる判決が出ています。また薬剤師がパワーハラスメントによりうつ病を発症し、慰謝料や未払残業代を求めて勤務先の病院を提訴した事例やパワーハラスメントと過労が原因で自殺した歯科技工士の労災が認定され、勤務先の歯科医院は数千万円の賠償を命ぜられています。

 今年6月に厚生労働省が発表した統計(注1)によると脳・心臓疾患の労災請求件数は過去5年間増加傾向にありますが、支給決定件数は過去5年では、やや減少しています。また精神障害の請求件数も同様に増加していますが、支給決定件数は昨年より減少しました。

 資料には、業種別構成比も出ており、脳・心臓疾患の請求件数が最も多いのは、運輸業・郵便業(全体の件数の22.4%)でしたが、運輸業・郵便業の就業者数は、平成30年の全就業者数の5.1%(注2)に過ぎません。労災の請求件数の比率は、就業者数の比率の4倍強の数値となっています。同じく、精神障害の業種別請求件数で最も多いのは、医療・福祉(17.6%)でしたが、医療・福祉の就業者数は全就業者数の12.5%です。ちなみに運輸業・郵便業の請求件数の比率は10.0%で業種別では4番目に多いのですが、就業者の比率(5.1%)の約2倍となっており、他の業種で請求件数と就業者数にこれほど乖離があるところはありませんでした。

 北海道医師会では、万が一、労災事故が発生し、使用者責任(安全配慮義務違反)が問われた場合に対応する保険として、使用者賠償責任保険を用意しています。毎年10月1日から1年間の契約となっています。

(注1)出典 令和元年6月28日 厚生労働省労働基準局 平成30年度「過労死等の労災補償状況」別添資料1、2

(注2)出典 労働政策研究・研修機構 産業別就業者数(男女計、就業者数計6,664万人、2018年平均)

 

  

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